いろいろなことが起こるけど
息子が通う幼稚園の、おとなりのクラスの担任をしていた先生が退職した。
12月のはじめに、とつぜんの休職。そこから1か月。
12月末をもって、本人の意思で退職されたらしい。
園から、経緯についての説明会があったけど、わたしは出席できなくて、くわしいことは知らない。
わたしが知っているのは、先生が、「いつも子どもたちのことを思っているけれど、幼稚園に向かうことがどうしてもできない」という葛藤のなかにいたらしい、ということ。
わたしは、その先生がはじめて担任をもったときから知っている。
新人とは思えない落ち着きで、ベテランのような安心感があった。
とてもきれいな声で歌う先生だった。
子どもたちのことを、とてもやさしくみてくれていた。
子どもたちも、親たちも、先生が好きだった。
「もろさ」や「危うさ」のようなものを感じたことはなかった。
だけど、見えないところで、苦しさやしんどさを、一人で抱えていたのかもしれない。
先生がいなくなってさみしい。
そして、先生が苦しんでいたことを思うと、とてもつらい。
先生が幼稚園に来れなくなったことについて、こどもたちがどこまで理解しているのかはわからない。
だけど、「こころが病気になることがある」ということを知っておくのは、自分のためにも、まわりのためにも、大事なことだと思う。
「こころが疲れたり、疲れすぎて病気になってしまうと、ふだんの自分なら当たり前のようにできていたことが、できなくなってしまうことがある」
「そんなときはしっかり休もう。まわりの人がそうなったら、休ませてあげよう」
「これは誰にでも起こる可能性があること」
と、こどもたちと話した。
もちろん、そうなる前に休めるのがベストだけど。
先生がもっと早い段階で休めていたら、結末は違ったんだろうか。
子どもたちは、今はまだ小さいけれど、この先どこかで同じ事態に出くわすかもしれない。
それが自分か、家族か、友人か、わからないけど、そのときに、驚いたり、責めたり、必要以上に悲しんだりせず、受け入れて、休んで、元気になってほしいなと思う。
いろいろなことが起こるけど、そのひとつひとつが、人や自分を知るきっかけになればいい。
いろんな人がいる。いろんなことがある。
先生が元気になりますように。
そしていつか、先生の歌といつもの笑顔が、子どもたちのもとに届きますように。
Renee GaudetによるPixabayからの画像