コケとにんじんと私
数日前、ちょっと用事があって、めずらしくきちんと化粧をした。幼稚園に向かおうと外に出ると、先に外に出てあそんでいた息子がわたしの顔を見上げて、キラキラした笑顔でこう言った。
「おかあさん、びじん!」
そんな言葉をかけてもらえたことがすごくうれしくて、ありがとうーと答えると、息子は足元のコケをふわふわさわりながらこう言った。
「今ね、おかあさんとコケを比べてみたの!そしたらおかあさんのほうが美人だった!」
コケ!!
おかあさんと、コケ!!
また別の日、めずらしく朝寝坊をした。となりに寝ていた娘が先に目覚めて、わたしに向かってこう言った。
「お母さんのお顔って、かわいいね」
とつぜんそんなことを言われて、びっくり&うれしかったけど、続く言葉に衝撃を受ける。
「お母さんのお顔って、にんじんみたい。にんじんみたいで、かわいい」
にんじん!!
おかあさん、にんじん!!
どういうふうに育てたら、こんな不思議な美の感覚が芽生えるのだろう。
親の顔が見てみたい。コケより美人でにんじんみたいな親の顔が!
でも、人間どうしを美しいかどうかで比べるのではなく、生き物すべてを同じように美の対象として愛でる気持ちをもっているところが、わたしの子どもらしいのかな。
おもしろくて、おかしくて、いとおしい、子どもの自由な感性。
型にはまらず思考できる2人を誇りに思いながら、いつまでも生き物として美しいと思ってもらえるよう、内面を磨いてがんばろう。
この先、日本のどこかでコケのようなにんじん顔の人を見かけたら、それはきっとわたしですので、みなさん声をかけてください。難易度、高いね。見つけてくれた人には景品渡します(笑)