ばとこいたんは
息子はなにかにつけて「○○の反対は?」と聞いてくる。息子の言う「反対」は、言葉を逆さまに読むことを指すのだけど、
「ハンバーグは?」「ぐーばんは」
「りんごは?」「ごんり」
「トマトは?」「とまと」
「トメィトゥ(tomato)は?」「とぅ、め、おぅ、ん???」
こんな感じで、わたしが言えなくなるまでエンドレス。
そんなある日、こんなことを聞いてきた。
「反対言葉の反対は?」
長めの単語になるとわたしも少し時間がかかってしまう。
「えーと、、、ば、ば、ばとこ、、、ばとこいたんは!!」
つい力が入って、大きな声になってしまった。
わたしを見ていた息子の目が一瞬きょとんとして、次にぱあっと輝いた。そして叫んだ。
「ばとこいたんは!」
気に入ったらしい。
それからというもの、かっこつけたポーズを決めながら「ばとこいたんは!」
勢いよくふりむきながら「ばとこいたんは!」
攻撃の構えをつくりながら「ばとこいたんは!」
お腹の底から「ばとこいたんは!!」と叫ばれると、カメハメ波的な響きのせいか、なんか強そう。
元々がなんの言葉だったか忘れるくらい、「ばとこいたんは」が独り歩き。
そんなわけで、わがやの今年の新語第1号は、「ばとこいたんは」になりました。
この、言葉を反対から読むあそびは、上の子も年中さんくらいのときに一時期ブームになってたんだけど、これって世界共通のこどものあそびなのかなあ。日本語みたいに音がはっきり分かれてる言語では簡単にできるけど、はっきりわかれてない言語ではどうなるんだろう。
例えば、「と ま と」は「と ま と」でいいけど、「tomato」はどうなるの?音をそのままひっくり返せば「とぅぃめと」みたいな感じ?文字列を逆さまにして「otamot」(「おていもっ」みたいな読み方?)になるんだろうか。なんか、あそびにしては難易度が高くて、こどもに流行りそうな感じしない。
日本語でも、音でひっくり返すのか、文字列でひっくり返すのか、という点では、幼稚園児と小学生のあいだで溝がある。
例えば「なっとうの反対は?」と聞かれたとき、
字の読み書きができない息子は音を逆順にして「うとなっ」
字がわかる娘は文字列を逆順にして「うとっな」
と、別々のことを答える。
どっちも正解ってことでいいんだけど、「逆さまに読む」って、かんたんなあそびだけど、奥が深いな。
「ねえ、お母さん、カンジャンケジャンは?」
「ん、ん、んじゃ、ん???」
息子との反対言葉バトルは、まだもうしばらく続きそうです。