呪文「カピバラ」
幼稚園のときには言わなかったのに、小学生になって、「アホ」とか「バカ」とか、ときどき言うようになった娘。
人に向かって言うのはやめようね、と声をかけるけど、それでも口から出てしまう。
先日、怒りがMAXになった娘が、弟に向かって「アホバカ!!」とセットで叫んだ。大声で。
言ったほうも怒ってるし、言われたほうも怒り出すし、聞いてるほうは不快。
そこで、わがやの新ルールができた。
・『アホバカ!』は禁止。代わりに『アルパカ!』なら許す。大声で叫んでよい。
・心の中で相手を『アホバカ』と思うのはいい。でも、口から出す言葉は『アルパカ』に変えること。その叫びに、アホバカの思いをこめるのは可。
まあまあめちゃくちゃなルールだけど、子どもたちは受け入れてくれて、これからは、相手に腹が立って、ののしりたい衝動にかられたら、「アルパカ!」と叫ぶことで約束した。
それから数日後、アルパカの話なんてすっかり忘れたころ。姉と弟のしょうもないバトルが勃発。
そしてついに怒りが頂点に達した娘が、怒りをこめた声で叫んだ。
「カピバラ!!!!!」
そして、全力でふすまをバーンと閉めて部屋を出て行った。
大真面目に怒りながら「カピバラ!」って叫んだ娘。
きょとんとする息子。
こらえきれず吹き出すわたし。
わたし「ねえ、それって、アルパカのこと?」
娘「え?ああ、アルパカやった。アハハ」
息子「お姉ちゃん 怒って カピバラ!って 叫んだ」(←笑いながら途切れ途切れにしゃべってる)
全員でおなかをかかえて笑った。さっきまで怒ってた娘もゲラゲラ笑ってた。
みんなを一瞬で笑顔にした。怒りを一瞬でリセットした。
娘の「カピバラ」の叫び、まほうの呪文みたいだった。
そんな平和な年の瀬です。