桜前線をこえて
高野川の桜が好き。賀茂川よりも、鴨川よりも。
桜の木と桜の木が近くて、花と花がくっついていて、ピンク色の帯みたいに、どこまでも続く。
川、土手、桜、空。ぜんぶが遠くまで伸びていく。この風景がとても好き。
高野川の桜は、出町柳から北にずっと続く。個人的には、御蔭橋から蓼倉橋のあいだ(上の写真)と、馬橋から松ヶ崎橋のあいだの左岸が、とくにきれいだと思う。
わたしはこの道沿いを自転車で北上するのが好き。南北で気温差があるから、桜の咲き具合が、北上するにつれて、ちょっとずつ変わっていく。
満開に近い、淡いピンクの景色から、まだ枝先につぼみが目立って、隙間から青空が見える景色に、途中で変わる。桜前線をこえる瞬間。
花さかじいさんに出会ったみたいな、季節の境目を見つける瞬間。ひとつづきの空間のなか、季節の境目に自分がいるという、ふしぎな感覚。
家を出て5分も歩けばこの風景。一年を通して、彩りが移り変わっていくこの風景が好き。もう何年も見てるけど、どんなに見慣れても、うつくしいものへの感動は、薄まったり、なくなったりしないんだなーってしみじみ思う。
わざわざお花見なんてしなくても、桜見放題の日々だけど、この土日、とってもいいお天気だったので、せっかくだからとお団子を買ってお花見に出かけてみた。
桜がきれいに咲いてるねーと話しかけても、子どもたちは桜には目もくれず、河原で石あそび&水あそび。あそびに夢中で団子すら食べない!「花より団子より石」っていう新しいことわざを作りたいくらい、絶景の桜はただの背景でした。ぜいたく。
もはや花見だったのかなんだったのかわからないけど、気持ちのいいお天気の中、たのしい週末だった。
一年ごとに大きくなる子どもたちと、また来年も、桜の季節を満喫したい。